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永遠の「今」を生きる

公開日: : 最終更新日:2017/12/11 あけのみつたかの表現哲学・キュレーション, 近況報告、その他

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絵を描くことを自分の仕事しようと決意してから3年の月日が経ちました。制作そのものを始めたのはさらにそこから3年数え、6年の月日が流れ去ろうとしています。

100作目を迎えて感じること

3月の末、涼しく、過ごしやすい夜だったことを覚えています。

その時、たまたま描いていた「帽子掛と四つの帽子」という作品が私にとって実際上最初の制作だと思います。

もちろん絵を描くこと自体は生まれてからずっと続けていたことではあるのですが、この作品が「画業」と申しますか、人様にお見せできる最初の作品となっています。

それから様々な形で制作を続け、時には自分一人で真っ暗闇に佇んでいるような、そうした孤独を感じていた時もあります。

それでも、がむしゃらに制作を続けているうちに6年前の歳月がたちました。制作開始から今までやむなく潰してしまったものなども含めると、ちょうど100作を作ったということになります(2017年11月時点)。

その下には、100枚など優に超える量のデッサンがあり、さらにその下に1,400枚以上のスケッチがあります。

多くは捨てていますが、今も出来の良かったものは手元に残しております。

個展「Eernity」初日から3日間の在廊で感じたこと

今年はオーナーのご厚意により12/4から東神田のギャラリー「エリアエー」にて個展を開催させていただける機会もいただきました(2017/12/4〜2018/1/31、作者在廊は12/6まで)。

多くの実績を重ね、必死の努力の上に幸運が訪れ、多くの人が手伝い導いてくれる。

そうしたことを今感じおります。

たとえ目的が違ったり、その接触面積が違い、意図が違うことがあったとしても、最善を尽くして協力して下さった多くの人に、この場をお借りして感謝を申し上げます。

一人で崖をよじ登っていたつもりが、いつかしら大勢の人に下から支えられており、下からだけでなく、上からも引っ張り上げられていたことに気がつく瞬間、その瞬間こそ、最高の奇跡であると私は思います。

以前は一人でよじ登っているつもりでいたからこそ、周りにいた大勢の人たちが見えず、一人で孤独でいたのだと思います。

最初の原動力は私が作った作品であったのは間違いありませんが、その作品ですら目に見えない多くの存在によって導かれた作品であったことは事実です。

あの奇跡の瞬間に立ち会い、今この奇跡の瞬間に立ち会えていることを、何よりも誇らしく思い、これから先も強かに努力を続けていくことをやめないつもりです。

そしてさらに飛躍し、後の世まで響き続ける大いなる光となることを願っております。

「藝術」という言葉の意味、美を垣間見る瞬間(とき)

photos via http://www.freeimages.com/photo/photo-exhibition-1234831

私は芸術やアートという言葉にあまりこだわりを持っていません。

「芸術の意味が分からない」と言い放った某美術館の館長のような人がどう思っているかはわかりませんが(笑)。

私自身のシンプルな言葉で言えば、芸術とは「美を顕現する媒体」にしか過ぎません。

ですので油絵だろうが、プリントだろうが、肉体表現だろうが、美のよすがを感じさせることができるならそれで十分だと思います。

旧来の芸術家はこだわりが強く、目的よりも手段に対して物凄いこだわりを持っている人が多いのですが、そんなものは後からついてくるものだと思います。

たしかに、長年続けてきたことを変えるのは大変です。それは私自身のことで言ってもよく分かるのです。

しかし、「美」という物差しは、決して技術的な優劣で測られるものではありません。

それは永遠の中に一瞬があり・・・・・・・・・一瞬の中に全てがあるようになっている・・・・・・・・・・・・・・・・・・のです。

美という概念には色合いに違いがあります。そしてあなたが美しいと感じたその色合いは、「貴方自身が何を見つけ、何をなしたか」によって決まってくるものであるのです。

この「あなた自身が何を美しいと感じるか」は先天的な部分と後天的な部分があります。学ぶことで得られる知識や経験から物の好みは変わっていきます。

そして、作る側もまた同じく、見るもの感じるものの中で印象に残ったものを選んで、発酵させて一つの表現へと組み立てているのです。

しかしながら、作品を見て下さる方々にお願いしたい。表面的な上っ面だけを見ないでください。作家自身の個性が反映されてはいますが、その奥に「永遠」を垣間見る瞬間を持っていただきたいのです。

永遠という言葉がピンとこないなら、永遠を感じる瞬間とはその奥に「神話体系」を感じさせることでもあります。

統一されていない、モチーフも技法も何もかも違うものなのに、なぜかしら漂う懐かしい記憶、暖かい感覚、そういったことを感じさせる「空間統一的宇宙観」こそ重要なのです。

その色合いに違いは様々あれど、求めている姿勢においての純粋さと、その奥にあるものをお見せできねばなりません。そうでなければ、本当の意味での「表現」でもなく、「芸術」にもなり得ない。

私の作品を例にとると、6年間描き続けた作品は、全体で一つの作品になるようにできています。しかも、単に「あけのみつたかの世界観」に終始せず、不可操作性の高い多くのものと密接に繋がることで初めて、全てが機能するのです。

つまり、時間と空間と、人と環境要因全てが一つの「表し」なのです。

その意味において「一は全で全は一なり」という言葉に帰結するわけです。

これが芸術の最も重要な存在価値と、その効果を発揮するための心臓部であると思います。

私もこの答えに辿り着こうと6年間、続けてまいりましたが、その答えは結局のところ「『目に見えない神話体系』が背景になければ、単なる『テーマ性』という安っぽい言葉に置き換えられてしまう」ということでもあるのです。

そして、作る側においてもこの「作家個人の生き様が表現そのものなのだ」ということを知ってください。そうすれば、自分の作品の良し悪しをより客観的に見ることができるはずです。

そして表現において最後まで責任を持って下さい。私の言いたいことは以上です。

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