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あけのみつたかのステートメント【愛と光のテーマ】

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最近真剣に作家にとってのマーケティングを勉強する意欲が湧いてきた。

この10年自分が何を描きたかったのかを明確に説明ができず、試行錯誤することが多く紆余曲折もあったが、昨年(2022年)の串本でのスケッチ旅行を機にその問題は氷解したように思う。

まだ形は朧げだが、やがてはっきりとした形でお見せできる日を心待ちにしております。心理学書や哲学書、宗教書籍を意図して読み込んだこともそれらに寄与している。何故ならマーケティングとは結局のところ「誰かの役に立ちたい」という意思が、別の言葉で言えば「より多くの人の人生に関与したい」と思わねば学ぶことができないからである。それが私の思う「芸術における愛」の一つの形態であろう。結局、人間は自己を伸ばす過程で多くの人のお役に立つことで最大の喜びを感じる存在なのだ。

そして私は真剣に、自身の経験や知識を総動員し、人の役に立つ芸術とは何であるのかを考え続けた。それは「芸術とは愛である」という使う古された言葉に集約されると思う。人は他の人を幸福にするために何かを成したいのだ。いや、成さねばならない。それが結局自分が多くの存在によって生かされてきたことへの恩返しとなるからである。その意味では「表現の自由」もその責任を取らなければならないものである。私自身そうだし、世の多くの人は知って知らずに関わらず多くのものを創造している。日々何かを創り出すのが人間の一つの側面である。それが人間と動物の決定的な違いでもある。

動物は大なり小なりある程度法則性を持って行動しており、その枠から抜け出すことができない。例えば草木は自分の生じた場所から抜け出すことは限りなく不可能であり、鳥や魚や昆虫たちも自由に動いているようでありながら、その行動には法則性が伴っている。しかし、人間はその限りでなく、もちろん食べねばならず寝なければ保たないが、それ以外の領域では自身の行動に自由性が高いが特徴である。それが先ほどの「日々何かを創り出すのが人間の性だ」という言葉の意味でもある。故にその行動や表現に責任を持たねばならず、自分中心であれば何をやっても良いとはならないのだ。

これは消極的な意味における自由と責任の関係であろう。反面、芸術と愛という関係には「美」というキーワードが架橋する。つまり美とは愛すべき者たちへ向けられる視線のの中に生ずる観想であるのだ。あなた方が愛するすべての事象に向けられた限りなく尽くす心こそ、美を見出す際に必要な視点であるのだ。本当は全てのものが愛という神秘の力によって生かされているが、それに気がつく為に神は「美」という視点を人間に教えたと言うこともできる。炉端の石や水飛沫の中にも美は隠れているのだ。そしてその愛と美の架橋がこの宇宙を繋ぐエネルギーでもある。私はそれを「光の造形美」と称することとする。まだまだ未熟ではあるが、光を単なる無機質なエネルギーだと見てはいない。

これが私の基本的なステートメントである。これからはより試行錯誤の少ない形での表現が可能になるのではないかと見ていますので、ご愛顧頂ければ幸いです。

「愛と美」について語ってみたいと思う。
私は、一芸術家として芸術とは“余剰の美”であると思う。

余剰の美、それは例えて言うならば、家なら家、柱なら柱、壁、窓、床、こうしたものがある中に余剰な空間がある場合、「ここに余白があるから絵を置こう」、そう思ったとする。仮にそれが絵であろうが、彫刻であろうが、例えば子供の落書きであったとしてもそれが美しければ“芸術”となって立ち上がってくる。

何をもって「美しさ」とするか。
何をもって“美”とするか。これが次の課題となる。

世界中の人が愛してやまない、美とは一体何であるか。
それを知るためにはまず、人間というものについてよく知らなければならない。

人間は、腕が二本足が二本頭が一つという肉の塊ではなく、創造するエネルギーそのものである。そして、自分自身が「こうなりたい、こうでありたい、こういう自分になりたい」と心の底から思っている姿を表現している。

この意味では、全ての者は表現者でありクリエイターであると言える。全ての人間が創造を営むことによって“存在”しているのだ。分かりやすくするために動物を例えに出すとすると、この意味での創造の余地が極めて少ないということが想起される。

例えば昆虫は全て生存本能を持っているわけであるが、この本能は種類によってその表出は様々である。しかし、同じ種類に限った場合、そこから抜きん出て行動できる範囲というのが極めて狭小であることが事実として挙げられる。すなわち全ての人間以外の動植物は自由自在な発想を膨らませ、新しい何かを創造すると云うことが極めて困難にできているのだ。この例えから翻って見れば、人間がいかに創造性あふれる存在であり、現実に日夜創造を営んでいるのかがよく分かる。

この「創造を営むこと」によって人間は互いに愛し合い、与え合うことを望んでいる。

ビジネスの現場を例にしてみよう。お互いに何を与えるか?何を相手に対して与えることができるか?まずこれを考えなければビジネスというものは成り立たない。いきなり成果を欲しようとしてもビジネスは成り立たない。このように、まずあなたが何をしたいのか、どんなものを世の中に還元したいのか、どのような世界にしたいのか、こうしたことを考えて、考え抜いた時にビジネスアイデアが練り上がる。そして実行に移した時に対価が発生する。このように人間というものは、本来愛し合い、与え合うことを望んでいるのだ。人間とは本来そういうものなのだ。お互いに繋がり合い感謝し、言葉を交わす。これが人間の重要な本性であると言える。

これを美しさというものに差し当てて考えてみると、美とは何かという意味がわかってくる。すなわち美は「他を愛するということ」と密接な関係があり、他人を愛するその眼差しが”美“を想起させることとなる。

これは人間だけではなく、動物たち植物たちにも手向けることができる眼差しである。植物はお互いに地面から生えて上へ上へと育っているだけのように見えるかもしれない。実際、先程の例に当てはめれば、そう見ることも可能だ。しかし、地下では根を媒介としたネットワークを作り一つのコミュニティを作っている。このコミュニティにも“主”がいたり“情報伝達係”、または“薬係”のような形で役割分担がなされていることが近年の研究で明らかとなっている。

この環境を見る限り植物の中にも繋がりがあることがわかる。

あるいは雲はどうであろう。雲は水蒸気の塊である。生き物ではない。

しかし、この雲の流れも地球の反対側の方までつながっているという説もある。気象学者によれば海と気温と太陽の光、それと地球の自転などはさまざまな要因によって雲は動いている。
つまり雲は単体で存在しているのではなく他の“もの”とつながるアトモスフィアであるのだ。

星はどうであろうか。星もまた他のものとつながっている。重力によって、あるいはまだ現代科学では解明されていない力によって星々はつなぎ止められ大銀河ができている。この星の輝きを見て美しいと思わない人間はいない。

このように、全てのものが繋がり合い愛し合うようになっているのだ。全ての存在はそのようになっているのだ。

ゆえに、全ての美の根源は愛の発見にあるといえる。愛することが、客観性を帯びた時にそれが美しさとなって現れるのだ。

さらにこの「愛の眼差し」について深く理解を深めていきたいと思う。先に展開した理論のさらに能動的形、即ち本稿の表題にある「愛と美について」である。

多くの人は「自分にとって素晴らしいものが現れた時にそれを愛する」と思いがちである。例えば自分にとってベストな伴侶、ベストな友人、ベストな同僚、ベストな上司、ベストな部下。こういうものに出会った時にそれを愛することができるようになると思う人は多いように思う。しかし、今まで展開されてきた理論からいえばそれは違っていることが分かるのではないだろうか。

「愛」とは対象のことではなくその対象を見るあなた自身の心の中に想起されるものなのだ。あなた自身の心の中に対象への愛が内包されている。対象が素晴らしいから愛するのではない、愛するからこそ素晴らしいものが発見されるのである。

即ち、これを美に置き換えた場合、モチーフが素晴らしいから愛する、モチーフが美しいから愛する。それは当然のことであってその前段階において、あなた自身がそれを愛しているか、その対象の中から素晴らしいものを見出そうとしているか。これが、肝要なこととなる。

すなわち、芸術は、愛であり画家は「愛の眼差し」そのものでなければならない。

なるだけ多くのものを愛し自分自身のものとせねばならない。そこに素晴らしい芸術が生まれてくるのではないかと結論づける。

結論を言うと「芸術とはモチーフではなく“方法論”」なのだ。「見る技術」なのだ。愛の眼差しそのものが美しさを想起させるきっかけとなる。これが今回語ってみた「愛と美」について、私の現在ただいまの結論である。

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