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アートとデザインの根本的な違いについて

公開日: : 最終更新日:2015/01/29 あけのみつたかの表現哲学・キュレーション

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今回は、アートとデザインの違い、この2つのものの相違点について、画家である私から一言、
イラストレーターやデザイナー、プロのアーティストを目指している方に何かしらのアドバイスができたらなと思います。

さて、私が学生だった頃、同期の生徒がその時の授業を見ていた先生に、
「デザインとアートって何が違うの?」ということを話していたのを憶えています。

その時その先生は、具体的なことは言わずに「見え方の違い」という風なことを言ってごまかしていたと思いますが、
私はデザインとアートは根本的なところで「違い」があると思うんです。

というのも、デザインというのは

「経済原理が主体となっているこの社会の中で、どうやったら、例えば演劇のポスターデザインであれば、
その演劇をきらびやかに表現して発信し、売上を伸ばすことができるか、あるいは企業のサイトデザインであれば、
どうやったらその企業の売上をアップさせられるようなデザインを提出することができるか、
その色の配置や構成はどのようにしていくべきか」

というように、「経済原理を助長し、サポートするという目的で装飾していく」というものが最終目標であると思うんです。

また、アートというのは立場を変えて

「どのようにしていけば、世の中を明るく豊かにしていけるか、疲れきって鬱のようになってしまっている人に、
パァッと光を投げかけることができるか、励まし喜ばせることができるか」

ということになっていくと思うんです。

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もちろん、プロパガンダとしてのアートというのもルネッサンス期以前には存在しましたが、当時プロパガンダという形で宣伝していたものが、
単なる経済原理のみで動いていなかったもの(教会やその宗教の精神を表現していた)であることも事実です。

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また、アートにおいても全く経済原理を無視して、山の中で一人絵を描けばそれでいいかといえばそうではないと思います。
そういった経済原理に則った中で、時代の精神となり得る表現を目指していくべきだと思います。

このように、アートとデザインというのは、その立場において「精神性を重視するか、経済面を重視するか」の違いがあると思います。

日本ではこういった精神面の捉え方や考え方が廃れて久しいので、日本人の方は、なかなか理解し難いかと思いますが、
こういった厳密な区別があるわけです。

少し難しい話になっていまいましたが、今の芸術の有り様については、やはり精神面を疎かにした「空っぽの芸術」
という奇妙な構図が成り立ってしまっています。

こういった状況を打破するには、もう少し日本人に「精神面」の勉強をしていただきたいなと思うわけです。

以上長くなりましたが、アートとデザインの根本的な違いについていくつかのポイントを説明しました。

今デザイナーを目指している学生の方や就職を考えている方、また純粋にアーティストを目指しておられる方に、
何らかの参考していただければ幸いです。

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