ルネサンスの絵画の美しさは構図にあり?神秘思想と構図理論の意外な共通点とは?
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最終更新日:2015/03/09
あけのみつたかの表現哲学・キュレーション
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近年、絵画技法としては既に消滅してしまった技法を再現する試みや古代の技法の持つ独特の雰囲気を活用しているアーティストが登場してきています。
特に、ルネサンス期を最後に話題から姿を消した「三角構図」や、円形に物体を配置する「円形構図」なども話題となっています。
そこで今回は、「そもそも三角構図ってなんぞや」という方にも簡単にわかるような「失われた構図理論」についてご紹介していきたいと思います。
三角形の構図に見る「完全」の表現技法とは?
そもそも構図とはなんなのかということですが、絵画における構図とは「画面内に配置された色や形の組み合わせ」のことです。
そういった意味から考えると、たとえば筆で一本の線を入れただけでも構図理論は成り立つわけです。
特にルネサンス期には「三角構図」が人気を博し、その安定した構図は「完成を象徴している」とまで言われたほどです。
この三角形というのは、神秘思想の世界では「宇宙」を象徴していると言われており、古代文明でも、三角形を使ったタペストリーや「フルーツオブライフ」などといった宗教的な意味合いの込められた模様などにも三角形という図形は度々登場しています。
フルーツオブライフは神秘学の中では「宇宙の構造」として表現される
五昴(ぼう)星と陰陽道、建築技法としての五角形の構図とは?
またこれは神秘思想とは直接の関係は言及されていませんが、陰陽道の中に登場し、あの安倍晴明も家紋に使用した「五昴(ぼう)星」は建築関連と深い関わりがあります。
主に建築の世界で使用されることの多い「五角形の構図」ですが、有名なものとしてはアメリカ国防総省の本庁舎として建築された「ペンタゴン」などが有名です。
アメリカ国防総省の本庁舎で五角形が使用されたのは「どの部署へもアクセスしやすい」ということが理由としてあげられていますが、建築物の構造強化のために五角形の図形が多用された例はその他数多くあります。
また平城京の時代、奈良の都を中心にして大きな結界を築くため、五芒星の構図で各主要神社や仏閣が建立されたという話も有名です。
円形は「完成」の象徴?神秘思想を取り入れた絵画は強い?
さらに神秘思想の系譜を感じさせる構図として「円形」が挙げられます。
これは古くは魔術や錬金術系統から派生した図形で、科学が台頭し始めた14世紀以前にはこうした「おまじない」が数多く行われていました。
現代の文化で円形の持つ意味を残している文化として「結婚指輪」などが挙げられます。
これは本来、男性と女性という両極のものが一つになることを意味する「おまじない」だったのです。
異なる性質を持った2人が、お互いの短所を埋めあい、長所を伸ばすことに「完成」という概念を当てはめたのではないかと思います。
このように神秘思想や魔術系の思想は現代美術や建築、その他様々な文化に息づいており、そうした考えを受け入れ、自分なりの表現にまで高めたアートというのは、非常に「永遠」に近いところに位置する作品を作ることもできるのではないでしょうか?
もちろん、制作の際には「美しい作品を世に出そう」という想いは大事ですが、その中でより美しい世界を表現するための法則は確かに存在しているということが言えると思います。
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