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【最後の仕上げ】油絵の仕上げに使用するワニスの種類とそれぞれの用途とは

公開日: : 最終更新日:2023/03/07 油絵上達の道

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油絵のワニスは、絵画表面を保護し、光沢を与え、色彩を深める効果があります。一般的に、ワニスは油絵の完成後、彩色が完全に乾燥した後に塗布されます。以下に、油絵のワニスについての詳細を説明します。

【ワニスの種類】 油絵に使用されるワニスには、天然ワニスと合成樹脂ワニスの2種類があります。

天然ワニスは、昔ながらの伝統的なワニスで、蝋状の固体を溶剤に溶かしたものです。主にダンマル、マスチック、コーパルなどの天然素材から作られます。天然ワニスは、時間が経つにつれて黄色く変色し、彩色を変えることがありますが、風合いを重視する場合には天然ワニスが適しています。

一方、合成樹脂ワニスは、アクリル樹脂やウレタン樹脂を主成分とする現代的なワニスです。合成樹脂ワニスは天然ワニスに比べ、弾性に優れているため、絵画表面に軽い圧力が加わっても破損することがなく、耐久性が高いというメリットがあります。また、色褪せや黄ばみが少なく、絵画表面の色彩を安定させることができます。現在では、合成樹脂ワニスが主流となっています。

【ワニスの塗布方法】 ワニスを塗布する前に、油絵を乾燥させることが非常に重要です。一般的に、油絵の表面は、彩色が完全に乾燥してから、少なくとも6か月から1年間放置することが望ましいとされています。しかし、乾燥が十分ではない場合でも、ルツーセなどの薄いワニスを使用することで、表面を保護することができます。

ワニスを塗布する前に、絵画表面をきれいに拭いて塵や汚れを取り除くことが必要です。ワニスは、均等に塗布することが重要です。一般的に筆塗りとスプレー塗りの2つの方法があります。筆塗りは、ワニスをブラシに取って、絵の具に垂らしながら、表面に均等に塗り広げる方法です。スプレー塗りは、専用のスプレー缶を使って、均等に吹き付ける方法です。筆塗りの場合、均等に塗ることが難しいため、ムラができてしまうことがありますが、スプレー塗りは均等に塗り広げることができるため、仕上がりが綺麗になります。

私の場合、使用するワニスにはタブローワニスとルツーセワニスの2種類があります。

ルツーセワニスは、天然の樹脂であるダンマル樹脂を主成分とするワニスで、また、ルツーセワニスは比較的軟らかいため、取り扱いが比較的容易であり、自然に乾燥するため、塗布後に自然な光沢が出ます。塗布することで、より強い保護や光沢が得られますが、仕上げに使用するというよりは油絵の乾性油では光沢が十分でない部分に補足的に使用することが多いです。

一方、タブローワニスは、特殊合成樹脂を主成分とするワニスで、ルツーセワニスに比べて硬めの仕上がりとなります。油絵の表面に塗ることで、作品を保護し、光沢を出すことができます。数ヶ月~半年程度寝かした油絵に保護用として使用します。熱に弱い為真夏の高温にさらされると溶解してしまうので薄く塗っておくに留めます。

一般的に、タブローワニスは絵具が完全に乾燥した後、ルツーセワニスは指触乾燥(指で触れてつかない程度)後に使用することが推奨されます。ただし、それぞれのワニスには使用方法が異なるため、製品の説明書をよく読んで、適切な方法で使用するように心がけましょう。

また薄く加筆していく仕上げの段階で、少しづつダンマルワニスなどをリンシードオイルに溶かし込み、光沢と筆の伸びの良さを出しています。これでも光沢が失われた場合、ルツーセのみで加筆し、完全乾燥後、タブローワニスで表面を保護するといった具合で仕上げます。

ワニスを塗ることで、油絵の表面が保護され、美しく仕上がります。しかし、ワニスを塗る際には、ワニスの種類や使用方法を理解し、取り扱いに注意することが重要です。

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