芸術の存在意義とは
公開日:
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最終更新日:2020/02/08
あけのみつたかの表現哲学・キュレーション
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人には言葉にできない領域というのがある
それはどの人にも、必ずある
しかしそれはそれぞれに独立せず、まとまった一つの球体のようでもある
そしてそれは球体でありながら同時に網のようでもある
漁師が海に放つと網のように
それは魚を捕えた網のようにうねり、水面を騒がせる
それは絶えず動き回っており、留まることを知らない
それはある時は黄金に輝き
ある時は青く澄み渡った、夜明けの海辺のようでもある
それは物言わず、ただだんまりを決め込んだ子供のようでもあり
それは風のように声にならない音でもある
そして私たちは気づく
実は心を真に通わせた相手であれば、言葉など要らないと
言葉など不要だ、海に漂う藻屑のように
それは真実を覆い隠し、上辺だけの単語の羅列にしかならない
真に心を通わす言葉は、芸術性を伴ったものでしか存在できない
何故ならそれは語らず、ただだんまりを決め込んでいるのだから
心は言葉にならない声をたくさん溜め込んで、ある時不意に姿を隠してしまう
それは我々がいかに重々しく、鉛の沼に沈んだ鳥のように思えて、飛び上がって捕まえることのできない想い
あるいは仄暗い水の底に沈む、大切な宝物のようでもある
ある時不意に思い立って探した、遠い昔に埋めたタイムカプセルのように、もうどこにも見つからない
それが人の心であり、言葉など無意味だ
芸術のイデアは形のない想いであり、想念であり、意味を持たないものだ
だからと言ってそれが無意味だと言っているのではない
それは絶えず打ち寄せ、また、遠くへ流されていく波のように、人の心と心を捕えて離さず、冷たく突き刺さる
しかしそれは限りなく暖かく優しく、吹き抜けていく春風のように
そして、絶妙なニュアンスで私たちを魅了してやまない
それが真のコミュニケーションであり、真の交流といえる
それがすべての始まりであり、全ての芸術の発露でもあるといってもよいのです
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