今月のおすすめ絵画展は!?7月の面白そうな展覧会を一挙公開
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最終更新日:2016/11/19
あけのみつたかの表現哲学・キュレーション
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日本の絵画展はだいたい夏辺りのサマーバケーションを狙ったスケジュールが多いのを皆さんご存知でしょうか?
そこで今回は画家の和田充生の目線から「面白そうな」絵画展を近畿圏限定でご紹介していきたいと思います。
没後90年 近代日本洋画の巨匠 黒田清輝展【京都文化博物館】
今回は京都限定になりそうですが、夜になるといい雰囲気になる烏丸通から徒歩15分。
明治時代の雰囲気を思わせる建物の京都文化博物館で、黒田清輝の展覧会が開かれています。
本年は、明治から大正期の日本洋画界に大きな影響を与えた黒田清輝(1866~1924)の没後90年にあたります。フランスで絵画を学んだ黒田は、帰国後、京都を訪れて着想を得た《昔語り》の関連作品群、芦ノ湖のほとりで涼む女性を描いた《湖畔》(重要文化財)や裸体画をめぐる論争の渦中に発表された《智・感・情》(重要文化財)といった名作・話題作を次々と発表し、洋画界をリードします。本展では、東京国立博物館および東京文化財研究所の全面的な協力を得て、黒田清輝作品の中から代表作約160点をご覧いただきます。
日本近代洋画の巨匠・黒田清輝の作品展です。
有名な「 湖畔 」、3部作「 智・感・情 」も展示されています。下絵や習作などの展示も多いので、面白いイベントでした。
京都文化博物館の黒田清輝展は、7月21日まで。
バルテュス展【京都市美術館】
京都市では最大級を誇る京都市美術館で、今回はシュルレアリスムから距離を置き、
フランスで活躍した画家、バルテュスによる回顧展です。
東京から今度は京都で展示されますが、一部では物議をかもしているようです。
「この上なく完璧な美の象徴」である少女のいる室内画など,どこか神秘的で緊張感に満ちたバルテュスの絵画は,多くの人々に愛され続けている。本展は,バルテュスの初期から晩年までの作品を通して,画家の創造の軌跡をたどる大回顧展。孤高の画家バルテュスの芸術が生み出された背景をみる。
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/exhibition/2014fiscal_balthus.html
今回のバルテュスにしろ会田誠にしろ、「児童ポルノじゃないよー」と思っています。というか皮肉なことですが、芸術ってやはり「禁忌を犯してナンボ」みたいな部分があるので、抗議が上がったことによって余計その芸術の価値、美術展の価値が上がったりすらするのではないかと思っています。
ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展【京都市美術館】
またもや京都市美術館ですが、ここの美術館は夏になると大きな展覧会が多いんですよね。
去年はゴッホとバロック絵画展でしたし・・・なかなか期待させてくれる美術館です。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて,西洋では浮世絵をはじめとする日本美術が大流行し,ジャポニスムという現象が生まれた。本展は,初期ジャポニスムを代表するモネの大作《ラ・ジャポネーズ》をはじめ,ボストン美術館の所蔵品より厳選された絵画,版画,素描,写真,工芸など約150点を紹介する。
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/exhibition/2014fiscal_looking_east.html
みどころは、初期ジャポニスムを代表するクロード・モネの大作《ラ・ジャポネーズ》。剥離する可能性のある部分の修復や古いニス、ワックスを取り除くなど、およそ1年の修復期間を経て、同展で初めての公開となる。
そのほか、フィンセント・ファン・ゴッホの「《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年」、エドヴァルド・ムンク「《夏の夜の夢(声)》1893年」、クロード・モネ「《睡蓮》1905年」、歌川広重「《東海道五拾三次之内 岡崎 矢矧之橋》江戸時代 天保4年(1833)頃」など、印象派の枠を超えた多彩な「ジャポニスム」作品を鑑賞することができるとのこと。
バルテュスはなぜ「少女」を好んで描いたのか?
私は今年も二科展に作品を出展しようかと思っているのですが、先ほどのバルテュスの作品に関しては、いろいろ物議をかもしてはいるようですね。
しかし、少女の裸婦、というのは横においておいて、裸婦画というのは私も何枚か描いたことのあるテーマですが、以外に性欲を感じていない所をクローズアップさせると、芸術になっちゃうんですよね。
例えば女性の秘部を拡大した絵画は芸術か、と問われたら、そこにセクシーさや性欲を喚起させるもの、そういった、要するに「いやらしさ」を抑えた絵画というのが意外に後世に残ったりすることが多いんですよね。
会田誠はなぜ「少女の秘部」を好んで描くのか?
例えば会田誠さんの作品はポルノか、そうでないか、と問われたら彼自身が、何のために女性の秘部を「わざわざ」描いたのか、というところに疑問点があるわけです。要するに秘部を拡大して描いた、あるいはわざわざ描いた、ということは、少なくともそれに魅力を感じていないと描きませんよね?
どのような部分に魅力を感じたのか、とういうところを突き詰めないと、バルテュスや会田誠の作品が「芸術」か「ポルノ」かの判定はできないのではないでしょうか。
芸術というのは、誤解を招くような言い方になるかもしれませんが、基本的に「生きることを謳歌する」ことなんです。そう考えた時に「性欲」というキーワードは外せないものになっていく、と私は感じます。
生きることを謳歌したいなら、少なくとも「食欲」「性欲」「睡眠欲」の三大欲求のどれかが満たされていないといけません。そう考えれば、エロティズムを芸術に活かす、と言うのは間違ってはいないと思います。
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