【下地処理で7割が決まる?】油絵づくりで非常に重要な下地処理について
公開日:
:
最終更新日:2023/03/03
油絵上達の道
Supported by
油絵の下地処理は、絵具が上手く乗るようにするために、非常に重要な作業です。下地処理をきちんと行うことで、油絵の色彩や質感が良くなり、耐久性も向上します。今回は、油絵の下地処理について、その手順や注意点を中心に解説していきます。
まず、下地として使用するキャンバスや紙には、油彩に対応したものを選ぶ必要があります。キャンバスについては、膠などのプライマーと下地処理がされていない画布が市販されていますが、初心者の方は、プライマーと下地がすでに塗られた市販キャンバスを使用することをおすすめします。また、下地にはガッシュ、水彩、アクリル絵具などを使用することもできるものもありますが、油絵の場合、クイックベースで下地を作ることをおすすめします。クイックベースは乾燥が早いため、作業時間を持て余すことがないため、後の工程もスムーズに進めることができます。
下地処理に使用する下地用ホワイトは、絵の具もしくはクイックベースを使用すると良いでしょう。絵の具をそのまま使用する場合、ポピー油やメディウムなどの余分な油分を抜き取り、純粋な顔料に近づける必要があります。
【絵の具をそのまま使用する場合】まずコピー用紙などの表裏共にプリントのされていない紙の上に拡げて乾性油を抜いてしまう必要があります。上からラップを施し乾燥を防ぎ、この状態で一日ほど放置することで、絵の具に元々入っていた乾性油を抜き取ってしまうことができます。
次に紙の上に油染みが広がったあたりで顔料をパレットナイフ等で取り除きます。溶き皿などに乗せた後、リンシードオイルを少量混ぜ合わせます。混ぜ合わせる際、少しづつ混ぜないと溶き油の配分が多くなりすぎ、下地の黄変などの可能性がある為注意します。普通のチューブ入り絵の具より少し硬いぐらいで止め、パレットナイフでキャンバスに塗り拡げます。塗り残しのないように細かい部分を塗ることができるようになったら、絵筆等を使用して、より細かいディテールを付けることも出来ます。この時、筆の毛先を使って、筆触を細かく描くことで、自然なテクスチャーを表現することも可能です。
下地に使用するオイルには、薄めるためにリンシードオイルやアルキド樹脂を使用することが多いです。リンシードオイルは、黄変しやすいため、塗りすぎには注意が必要です。アルキド樹脂は黄変しにくく、下地用ホワイトの乾燥を早める効果もあるため、人気があります。
また、下地には白の顔料を使うことが一般的ですが、黒いオイルカラーやグレーのオイルカラー、褐色系のオイルカラー等を使って、色味を調整することもできます。白いオイルカラーは、明るい色味を表現することができますが、黒いオイルカラーは、影や深みのある色味を表現することができます。
以上、油絵の下地処理について解説してきました。下地処理は、油絵の仕上がりに大きく影響するため、手を抜かずに行うことが大切です。また、下地処理には様々な技術や技法があり、慣れるまで時間がかかることもあります。しかし、いかに上層描きが上手くいこうとも下地の立体感や色調は全体を支配する重要な要素です。ほとんど下地の出来不出来で全体の7割が仕上がったといっても過言ではありません。じっくりと時間をかけて丁寧に作業を行うことで、美しい油絵を描くことができるようになります。
Supported by